諸事情により
体に
1勤務分の疲労が残ったまま
ファミレス。


ドリンクバーのおかわり
など
やりながら
時間を潰していた時のことであった。

いつから
きていたのか
斜め向かいの席に親子連れ
と思われる
二人組みが
座っていた。
母と制服を着たその娘(中学生)であった。

特に
気にも留めず
古本屋でみつけた「すばらしき愚民社会」という
ものすごく皮肉たっぷり
の本を読みながら
ドリンクを
チューチューやりながら
連投を入れたことを
若干後悔していると。

いきなりガタン!
という音がして

母「ああ、何をするの。
やめて!やめて!!!」

娘「あああああ!!!!
だから〜(よく聞き取れない)っていったじゃないかー!」

娘が
いきり立って
フォークやナイフを
思いっきり
母親に向かってぶん投げていた。

母親のガードした手か
又はその他の部分に当たり
フォークやナイフが
はるか後方へぶっ飛んでいく。

ぐあ。
なんじゃぁ。

思った。

ファミレス全体
一瞬凍りつく。

しかし
隣で
ひたすらタイプしている
作家希望系のやつも
OL風女子も
注文を指差しで行っていた
アメリカ人風の男も
その横のカップルも

一瞬目を上げて
そっちを見ただけで
もう
今までの空気に戻ってしまった。

ぐああああ。

思う。

店員駆けつけるかな
と思ったら。

静かにやってきて
フォークとかだけ拾って
一言二言
しゃべり
また去っていった。

おおお。
怖ぇ。
東京。
などと
思っていると


若干おびえた様子で
「じゃあ、あなたの好きなように食べていいのよ。
コレを食べてから
コレを食べてもいいし
コレを食べてから
コレを食べてもいいし。
もし余ったら残りは食べてあげるからね。ね。」

娘「・・・・」

母「あなた
そうだわ
飲み物。
飲み物を頼んだっていいわよ
何か頼む?」

娘「・・・・」

最初のころ
俺は
ははん。
これは
親が
過保護になりすぎた故に
中学生の
芽生え始めた自我や
自尊心が
傷つけられ
それを
何らかの形で表現することが出来ない14歳が

とにかく
キレることで
「自分は今、不愉快なんだ」

表した図であるな。

思っていたが。

よく見ると
状況は
そんな簡単なものでは
なさそうだった。

第一に
少女は
「どれにしかなぁー」と
いきなり機嫌が戻ったかと思うと
「ふざけんなよ。わかんねーんだよ」
などと
又キレる。

そんで
最終的に
半泣き状態になり
まったく手をつけてない
はずの料理に
「だめだ
コレ溶けてきちゃったから
交換してきてー。
はやく。ねぇ。交換してきてよー」

店内に響くほどの声で
言い始めたのだった。

さすがに
店員駆けつける。

店員「いかがなさいましたか?」


本当に困ったと申し訳ないと
ただただ
悲しくて泣き出したい
が入り混じった
顔をして
「・・・
いや
いいんです。
コレすいませんけど
同じのもう一つもらえませんか?」

俺。
ココで
どうしてもいたたまれなくなり
店を出る。

21時まで
まだ
4、50分あった。

外にでると
雨は上がっており

星こそ
見えぬものの
真っ暗な
夜が
なにやら全体を包み込んでいた。